はてな妖怪クラブ

京極夏彦にも飽きてきたところだが,ついつい参加してみようと思った。

母方の祖母は私が5歳ぐらいのときに亡くなった。覚えているのは田舎の庭で従兄弟たちと遊んでいたことである。何故,庭で遊んでいたかというと家の中では祖母の葬式をしていたからだ。それが祖母に関する唯一のまともな記憶である。
で,まともでない記憶がもう一つだけある。
その祖母に手を引かれて二人きりで裏山の道を夜,歩いている記憶だ。夜なのだが星明かりがまぶしいくらいで,木が生い茂っていないところはまるで昼間のように明るく見えた。その道を裏山の奥のほうに向かって二人で歩いていく。途中,前方から何か音が聞こえる。近づくと,それはまた遠くで聞こえるようになる。かと思うと,今度は後ろから聞こえてくる。
「あれは,小豆洗いという妖怪だよ」
そう,祖母が言う。

これが,まともでない方の記憶。生きている祖母に関しては,この記憶しかないのだが,夜に祖母と2人で裏山に行くなんて事があるわけがない。おそらく夢の記憶なんだと思う。

もう少し大きくなり,小学生のときに,水木しげるの絵で「小豆洗い」という妖怪を知った。目のぎょろりとした無精ひげの小さな男が小豆を洗っていた。ちょっとイメージが違うなと思ったのであった。