詰将棋とは

歴 史


詰将棋がいつ発生したのかはよくわかっていない。
文書として残っていないので,もしかしたら
人類史が始まる以前から存在したのかもしれない。


もっとも現代の将棋ルールで残っている最古の文書は
詰将棋の本である。
そこらへんをネタに,
『現代将棋』成立に関する一考察」という冗談を書いた。
ぜひ一読してもらいたい。


ともかく江戸時代初期から詰将棋は人類に親しまれてきた。
そして,名人の献上図式の伝統と日本人の
より高みを目指す性癖が,「将棋無双」「将棋図巧」という
金字塔を打ち立てた。





将棋無双」は三代伊藤宗看,「将棋図巧」は伊藤看寿の作品集である。
この二人の兄弟によって,世界に誇れる日本の文化遺産は創られたのである。


大橋宗英により,名人が就位するに際して詰将棋作品集を献上するという
素晴らしい伝統は途切れることになる。
その後の封建制社会の崩壊,民主革命の流産などがあり,
将棋界も実力名人制となり,美しさよりも勝負に辛い時代がくる。
詰将棋などという,世間に何の役にも立たない純粋な文化に
心血を注ぐということは難しくなる。


しかし,いわゆるアマチュアの手により詰将棋の伝統は守り受け継がれていく。
その拠点となったのが,「将棋月報」そして戦後は「詰将棋パラダイス」と
近代将棋」である。


近代将棋」は永井英明氏が創刊,塚田賞を制定し,数々の名作を
世に送り出してきた。現在は経営をきたろう氏(中野隆義氏)にかわったが,
縮小されたもののあいかわらず塚田賞は健在である。


詰将棋パラダイス」は鶴田諸兄氏が創刊,看寿賞を制定し
唯一の詰将棋専門誌として、詰将棋作家たちの心の灯火として輝きつづけてきた。
鶴田氏から柳原裕司氏が経営を引き継ぎ,現在は水上仁氏がその
任を負っている。


これらの雑誌を舞台に,数多くの詰将棋作家達が腕を磨き合い,
優れた作品が生み出されてきた。
そして,この文化を継承・発展させるのは,
とりもなおさず今この乱れた文章を読んでくださっているあなたである。

ルール


全詰連は,かつて綿貫規約と呼ばれている規約を制定した。
しかし,現在はこの規約に厳密にしたがっている人は少ない。
各自がそれぞれの美意識(?)に忠実に,
創作や解答,解説をしているのである。


趣味の世界であるからそれでいいと思うのだが,
新しくこの世界に入って来ようという人にとっては
それでは敷居が高くなってしまう。
そこで,現在,川崎弘氏を中心に,
新しい「詰将棋規約」が作り上げられつつある。


したがって以下に書くのは,私(風みどり)個人の
詰将棋に対する認識に他ならない。


他にも詰将棋のルールはあちこちにかかれているので
ジャンプしてみて比較検討するのも面白いかもしれない。
(つまらないと思うが)

基本ルール
将棋のルールの下で, ある局面から,王手の連続で玉を詰みにいたらす手順を求める。
問題提示の補助ルール
玉方(後手)の持ち駒は特に断らない限り「残り駒全部」である。 玉方はこの持ち駒を間駒に用いる。
解答のための補助ルール
解答は玉がもっとも長い間(手数)生き残れるように 逃げた手順を1つ決定し,それを解答する。
創作のための補助ル