春過ぎて夏来るらし白たへの衣乾したり天の香具山

ご存じ、百人一首第2番持統天皇の歌だ。

解説本を読んでいて、あれっと思ったこと二つ。

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山は誤読

これは定家による改作かと思っていた。
山部赤人の「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける」を
田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ」になおしたように)

しかし解説本を読んでいたら、これは改作ではなく誤読であるという。

万葉集では
春過而夏来良之白妙能衣乾有天之香具山

これは夏の歌?

2冊並行して読んでいるのだが、どちらも解釈は
「春が過ぎて夏が来たらしい。昔から夏に白い着物を干すといわれている天の香具山に、純白の着物が干されているよ」
「いつの間にか春が過ぎて、いよいよ夏が来たらしい。純白の夏の衣を干すという天の香具山に」
という平凡なもの。

しかし私が昔教わった記憶によると、これは冬の歌なのだ。

今冬だからこそ、「春過ぎて夏がきたみたい」ということだというのだ。
なんで夏が来たみたいかというと、香具山が衣を干しているようにみえるから。
つまり、雪が降って、それが白妙の衣みたいにみえる。
冬なのにまるで夏みたいだねという遊び歌だという解釈である。

これを教わって、私はすごく感心した記憶があるのだけれど、この解釈って主流ではないようだ。
主流で無いどころか、ネットでいくつか検索してもみつからない。

いったい、誰に、いつ教わった解釈なんだったかな?
本で読んだのかな?