「谷渡り」再現


以前,掲示板に貼った作品ですが,もう消えてしまったのでここに再登場させることにしました。
100手を越えた長編です。しかし,本当に易しいので解いてみてください。








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本図は,黒川一郎氏の「谷渡り」を再現してみようと試みたものです。「谷渡り」は近代将棋に発表された作品ですが,発表時余詰でした。作品集「浪漫集」は上梓された後でしたし,余詰作ですからその後紹介されることもありません。黒川氏も亡くなってしまい,とうとう修正図は発表されないままでした。
しかし,私は初心の頃に見た「谷渡り」の楽しさが忘れられず,長編を作ってみようと思った時にその練習としてあの趣向手順を再現してみようと思ったのです。覚えていたのは金で追って,馬で追い戻すというその趣向部分だけ。図面は手元にありませんでした。
その後,TBaseの近将篇が届いて調べてみた原図が下です。




比べてみると,驚くほど配置が似ています。ま,当然といえば当然なのですが(^^)。
現在は理屈っぽくかつ洗練された長編作品が主流となっていますが,この単純な追いかけっこの楽しさも捨てがたいものではないでしょうか。
なお,「谷渡り」の余詰は 29手目,62馬以下です。
再現図は掲示板に貼ったときより,さらに4手逆算しています。また,原図にあわせて左右入れかえました。