跳ねる桂
間駒の効かない唯一の駒,桂馬。
打ち捨てにはこんな便利な駒はありませんが,
盤面に配置されていた桂馬が勇躍跳び出していく姿はまた格別です。
田辺 国夫
王将 1954-9
焦点に颯爽と跳ねていく味。
打ち捨てではまったく違う味になってしまうことがわかりますね。
駒数も少なく端正な初形に,きらりと光る手を織り込んで,
理想的な短編です。
どこにどう跳ねるかがテーマ。。。とかいたらネタバレですね。
これは同じテーマでも,ぐっと現代的な作品です。
この瞬間。
この瞬間だから,桂馬が光り輝いているのです。
シャーロック・ホームズは伊藤正氏のペンネーム。
短編かと見違う簡素な初形で,狙いの一手を鮮やかに演出しています。
前局と同様,飛車2枚の潜在力を後ろ楯とした桂馬の跳躍。
この駒数で,しかもこの手数で纏める腕が素晴らしい。