堀半七


作者名である。1作しか知られていないので,これで作品がわかる。

 
たった1作。しかし,堀半七は歴史に名を残した。





堀 半七




「会友録」 明治年間



「エレベータ詰」と呼んだ方がわかりやすいかもしれない。作者は幕末から明治初期の時代に生きた愛棋家ということらしい。


歩をいつ打つかが,なかなかわからない。
気がつくと千日手に陥る。いや,持駒がいつの間にかなくなっていたりする。


この紛れ手順の面白さに,4人の作家が
作品化に取り組んだ。






柳田 明


変奏曲


詰将棋パラダイス 1978-3


この繰り返し手順を自然に拡張しようとすれば,馬ノコとの組み合わせがまず考えられる。


本図は柳田大兄らしく,アイデアだけで終わらせない作図姿勢を見せてくれる。完成度の高さで解いた者を納得させる仕上がりである。序盤を抜ければ易しい手順であるので,初見の方は是非挑戦を。





河原 泰之


KYOTO


近代将棋 1991-9


「無仕掛け」+「離れていく馬ノコ」という演出で,新作を主張した作品です。


なんとも,お見事な作図技術……と
いう感想は作者としては本意ではないでしょう。


終盤もよく練られており,最後まで楽しめる作品です。


今川健一氏より「
29手目28飛引で63角成と
指したら早詰では?」
とご指摘をいただきました。


柿木VIIで調べてみたところ,
25手目19歩という手もあるようです。
作者には是非修正をお願いいたします。






駒場 和男


堀半七の世界


詰棋めいと 2号 1985-2



離れていく馬ノコには二歩禁のための
歩の配置が必要になります。
その歩を利用して簡潔にまとめたセンスが
素晴らしいと思います。


駒場氏もこんな可愛らしい作品を造ってくれることもあるのですね。






竹下 雅敏


時空


近代将棋 1981-3


さて,殿に選んだのは発表時期としては
柳田氏の「変奏曲」に次ぐ本作です。


原作の「歩をいつ打つか」を
「角以外の駒をどうやって入手するか」に
展開しています。


紛れ手順を利用したのではなく,
原作をさらに発展させようという
明確な意思を感じます。


舞台装置を壊さずに
目的を達成した途端に終局。
ため息が出るような見事な作品です。