巣籠


詰めあげた時の快感。
これを最大限に演出しようとした結果が曲詰です。
その中でもイロハ字形は楽しいものですが,日本人にしか理解できないものですので
最初に取り上げるのは巣籠にしました。




酒井 克彦




詰将棋パラダイス 1978-6








sugomori1.kif


9手詰。10数手までの短編では本作が
群を抜いて洗練されています。


本作をみるとやはり曲詰は機知なのかなぁと思います。




山葉 桂




詰将棋パラダイス 1983-2








sugomori2.kif


本作も易しいですが,絶対にはずせません。どのように仕上げるかという感覚の確かさを感じます。


この形を造る手数としては短いのですが,
その中でも打った駒を捌く順をいれてさっと纏めるところが素晴らしいです。




岡部 雄二




詰将棋パラダイス 1979-3








sugomori3.kif


易しいといっても,本作ぐらいの手応えがほしいなという気持ちもあります。


本作は無理のない手順で,不動駒わずか1枚。しかも,変化ではきちんと動くという見事な作品です。




田中 至




詰将棋パラダイス 1981-9








sugomori5.kif


43手詰です。最長手数を選んでみました。
手順は手数の割には易しいので,是非初心の方も挑戦してみてください。


創る立場としては,不動駒の多い収束なので手数を伸ばさなければならなかったという事情なのかもしれません。
しかし,最後に楽しみが待っているのだから,途中の道程は長い方が楽しめるということもいえるかもしれません。


同手数の43手詰が三角淳氏にもあります。
これも細かい読みを積み重ねれば解決する楽しい作品なのです。まもなく氏のサイトで公開されるでしょう。




門脇 芳雄




詰将棋パラダイス 1962-8/1992【曲詰百歌仙】第87番








sugomori7.kif


看寿賞も受賞した有名な名作です。
初見の方は是非挑戦してください。


4手目の変化も短い手数で詰めるのが難しいです。


「巣籠」という命名は同じ詰めあがりの
門脇氏の作品につけた固有名詞だったとのことですが,いつのまにか一般名詞になったということが,【曲詰百歌仙】に書かれています。