君には隠れた素晴らしい力が

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

君には隠れた素晴らしい力が眠っている。私がその力を引き出してあげよう。
いいかたは様々だが、魅力的な呪文だ。実際に使う際には「私が」とははっきり言わず,それでいてそう思い込ませることが肝要。これで信者の出来上がり。
ハリーポッターは1巻しか読んでいないが、出だしのところは典型的だ。主人公はある日突然「君は天才だ」との知らせを持った訪問者に出会う。主人公は何の努力をする必要もない。必要なお金も死んだ両親が残しておいてくれた。あとのすべては自分の血の中にすでに仕込まれ済みの才能が処理してくれる。こういう幸運な物語は「シンデレラ」や「醜いアヒルの子」からの伝統だ。もっと古くは貴種流離譚と呼ばれる種類の話もその要素をもっているかもしれない。もっともハリポほど本当に何の努力をしないのもめずらしい。
ハリポはともかく、現実でもこの夢を抱いている人は多いから、呪をかけるのは比較的たやすい。以前勤めていた進学塾の社長は達人だった。講演会に来るオカアサマたちをことごとく信者に仕立てていく。(素晴らしい力を引き出されるのはコドモだが)
運動系の指導者などにも、この手の技を使う人がいる。信者の集団をさらに軍隊式に訓練して頂点におわしましている人もいる(あ。音楽系にもいるいる)
この技、必要な場面もあることは認めよう。しかし目的が手段を正当化することはない。やりすぎには注意が必要だ。