「学力」の経済学
- 作者: 中室牧子
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2015/06/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ベストセラーと言うことで一応チェック。
前書きでまずぐっと掴んでくる。
私は、教育評論家や子育ての専門家と呼ばれる人たちを否定したいわけではありません。
しかし、彼らがテレビや週刊誌で述べている見解には、ときどき違和感を拭えないときがあります。
なぜなら、その主張の多くは、彼らの教育者としての個人的な経験に基づいているため、科学的な根拠がなく、それゆえに「なぜその主張が正しいのか」という説明が十分になされていないからです。
また1章の冒頭でもこんな感じ。
ベストセラーとなった「統計学が最強の学問である」の著者である西内啓氏は、同著の冒頭で次のように述べています。
「不思議なもので、教育という分野に関しては、まったくといっていいほどの素人でも自分の意見を述べたがるという現象がしばしばおこる」
たしかに日本では、教育を受けたことがない人はいないので、教育について一家言あるという人は少なくありません。
まさに、「一億総評論家」状態だともいえるのです。
こういうことを書かれると、もうこの本を最後まで読まなくてはと思ってしまう。
ミンシュ主義の世の中だから意見を言うのは自由だけれど、自分の意見が正しいと根拠ない確信を持つのは本当に困るよね。
つい最近も「女にサインコサイン教えてどうする」といった人がいるが、これはすぐに叩かれているから実害はなかった。
しかし、かつて「二次方程式の解の公式なんて私使ったことないわ」といった某作家のお陰で、中学校の教科書から解の公式が10年消えたのも忘れないで欲しい。これは悲惨だった。
方程式とか公式は、数学が苦手な子どものためにある。
二次方程式だったら、公式をなくしちゃったら全部平方完成で解かなくちゃならない。
つまり、数学が苦手な生徒程、よけい苦労することになった。
(高校の先生は二次関数を教える際に、皆、平方完成ができるようになったと喜んだが)
教育学はまだまだ「学問」の名に値しない。
だから教員が保護者と話をする時、その根拠は発達心理学などの教育学を学んできたことよりも、数千人の子ども達と接してきた経験が大きくなる。
だから教育評論家のセンセイ方が断定口調で自分の経験だけから語るのも、仕方ない意味もあるんですけどね。
でも学問でないと言えば、医学だって同じだ。
公理があって、そこから演繹されるわけではない。
しかし、新薬の認定などちゃんと数学を使って検定するなど、学問に近づける努力をしている。
教育学もやっとその努力を始めたと言うことらしい。
教育経済学とは初めて聞いたが面白かった。頑張って欲しい。
最近、読んだまたは読みかけの行動経済学の本も一緒に紹介しておこう。
どれも面白かった。
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