今日は死ぬのにもってこいの日

上の「がんばらない」に有名な「今日は死ぬのにもってこいの日」という詩が引用されていた。全文,引用する。

今日は死ぬのに
とてもよい日だ。
あらゆる生あるものが
私と共に仲よくしている。
あらゆる声が私の内で
声をそろえて歌っている。
すべての美しいものが
やってきて私の目のなかで
憩っている。
すべての悪い考えは
私から出ていってしまった。
今日は死ぬのに
とてもよい日だ。
私の土地は平穏で
私をとり巻いている。
私の畑にはもう最後の
鋤を入れ終えた。
わが家は笑い声で満ちている。
子供たちが帰ってきた。
うん,今日は死ぬのに
とてもよい日だ。

(CopyRight Nancy Wood from Many Winters, Bantam Doubleday Dell 1973.All rights reserved. 丸元淑生訳)

この詩はすいぶん前に読んだ記憶がある。しかし,ちと違う気がする。そこで本棚を探って見つけ出した。
今日は死ぬのにもってこいの日isbn:4839700850に載っている詩は次のような訳だった。

今日は死ぬのにもってこいの日だ。
生きているものすべてが,わたしと呼吸を合わせている。
すべての声が,わたしの中で合唱している。
すべての美が,わたしの目のなかで休もうとしてやって来た。
あらゆる悪い考えは,わたしから立ち去っていった。
今日は死ぬのにもってこいの日だ。
わたしの土地は,わたしを静かに取り巻いている。
わたしの畑は,もう耕されることはない。
わたしの家は,笑い声に満ちている。
子どもたちは,うちに帰ってきた。
そう,今日は死ぬのにもってこいの日だ。

金関寿夫訳

大きな違いは,畑についてだ。
丸元訳では,もう畑は安心。金関訳では畑は廃棄。
しかたない。これは原文に当たるしかない。原文は次の通りだった。せっかくだから,全文引用するぞ!

Today is a very good day to die.
Every living thing is in harmony with me.
Every voice sings a chorus within me.
All beauty has come to rest in my eyes.
All bad thoughts have departed from me.
Today is a very good day to die.
My land is peaceful around me.
My fields have been turned for the last time.
My house is filled with laughter.
My children have come home.
Yes, today is a very good day to die.

be turned が土おこしされたという意味ならば,私の軍配は丸元訳に上げたいが,どうだろう?
つづき(新訳)
今日は死ぬのにもってこいの日